野崎まど著 『HELLO WORLD』 メモ

野崎まどの作品は、『2』や『バビロン』などを読んでいて、

アニメーション作品では、『正解するカド( Kado: The Right Answer )』が面白かった。

『アムリタ』から『2』までのシリーズをアニメ化すれば人気になると思いますね。

正解するカド KADO: The Right Answer
正解するカド KADO: The Right Answer

ハローワールドは、ボーイミーツガールというかセカイ系……ボーイミーツガールかな^ー^

 

???「冒険小説の主人公は、冒険へと向かいます。自ら険しきに挑み、諦めずに最後までやり遂げる。そんな姿に私は、憧れているんです」

???「私もそう生きたい」

???「そう在りたいと思うのです」

 

これは、ヒロイン・一行 瑠璃のセリフです。

とてもいいですね^ー^

『HELLO WORLD』のメモとあらすじを書いていきます。

 

???「現実は出来合いの物語ではない。大好きな読書の世界とは違い、期待と興奮に胸を高鳴らせた後に、必ず幸福な結末が待っているとは限らない」

 

舞台は2027年の京都である。

読書好きの内向的な主人公・堅書 直美は高校生になった。

新学期そうそうにしてクラスに馴染めないでいた。

自己啓発本を買うなど己を鼓舞するがままならない。

教室で読書ばかりしているので図書委員にあてがわれる。

後にヒロインとなる同じクラスの図書委員になった一行 瑠璃にWiz(LINEみたいなもの)のアドレスを訊くが、

自宅の住所を書かれた紙を渡されるだけだった。

ある日、家路で奇妙な鳥と正体不明の男に出会う。

そして、この世界の秘密が判明する。

ALLTALE(アルタラ)という量子記憶装置につくられた過去の京都を再現した架空の世界だったのである。

 

「ここは、アルタラに記録された『過去の京都』」

「お前は、アルタラに記録された『過去の堅書直美』」

 

男は、2037 年の現実の世界からやってきた10年後の主人公だったのだ。

10年後の現実の世界から来たので過去の事柄は知っている。

前述の、一行 瑠璃と3ヶ月後に交際するらしい。

主人公は一行の行動を観察したが、そりがあうとは思えなかった。

花火大会のときに起きた落雷事故により、一行は目を覚まさなくなったという。

男の目的はアルタラの記録の改ざんだという。

この事故を食い止めればデータであっても一行が生きている世界がつくれるのではないか、と。

現実の世界の彼女は目を覚まさないのに……と主人公は不思議がる。

主人公は10年後の自分のことを「先生」と呼ぶことになる。

そして、先生は主人公に青い不思議な手袋を与える。

この手袋は、神の手(グットデザイン)という。

グッドデザインには、アルタラの世界の事象を書き換えるリライト能力があるのだ。

だが、いくつか制約がある。

  1. 手袋で触れている部分しか書き換えられない。
  2. 手袋から離れた場所にモノをつくることはできない。
  3. 人間など複雑なものを書き換えるのは難しい。

それに加えて、ある一冊のノートを主人公に授ける。

未来の出来事が仔細に書かれた、『最強マニュアル』というノートである。

過去に行動した結果が書かれている。

つまり、人生の「解」である。

先生が過去に行ったことを再現することで、

めでたく一行と付き合えるというわけだ。

ノートに書かれた出来事を再現し、一行との距離を詰めていくことになる。

6月のある日のこと、図書委員会で古本市を開くことになった。

古本を集めて売るという。

これは、主人公と一行にとってターニングポイントになる出来事だという。

主人公は一行の自宅の書架に案内されることに。

そこには大量の本が並んでいた。

まるで図書館だった。

一行の亡くなった祖父が蒐集していたようである。

リヤカーで汗だくになりながら本を学校まで運ぶことになる。

道中で一行から質問される。

 

「堅書さんは」

「どんな本がお好きなのですか」

「冒険小説の主人公は、冒険へと向かいます。自ら険しきに挑み、諦めずに最後までやり遂げる。そんな姿に私は、憧れているんです」

「私もそう生きたい」

「そう在りたいと思うのです」

 

「僕は」

「SFが好きなんです」

「SFって、新しい世界を見せてくれるんです。それは、すごく素敵で、遠い世界で。けど、でも、それは夢物語じゃないんです。SFのFはフィクションですけど、Sのサイセンスが現実と繋がってる」

「物語なのに、普通の世界の延長にあるんです。そう思うと、この世界も、なんだか小説の一部みたいに思えて。自分も、物語の中の人になれたような気がして」

「もちろん現実の僕なんて、ただのエキストラなんですけど……。けど、あの、全然上手く説明できてないですけど」

「SFが好きなんです」

 

「そうですか」

「その感覚」

「私もわかる気がします」

 

本が燃えてしまった。

いくつかの不幸が重なった結果だった。

古本市は中止になった。

主人公は燃えてしまった本をグッドデザインでつくるという。

先生は止める。

過去が改変されてしまうからだ。

未来は予測できないからだ。

……一行を救えない。

 

一行の独白が書かれる。

子供の時から団体行動は苦手だった。

中学生の頃も最低限の人付き合いしかしてこなかったし、

仕事以上のこともしなかった。

けれど、高校生になり、図書委員になり、同じクラスの男子と一緒に走り回った。

いつしか他のクラスの委員とも一緒になって、一つの目標に向けて力を尽くしていた。

どれも自分が自分にとって、初めてのことで。

それは “冒険” だったのだと思う。

経験のないことに挑むこと。

人と触れ合ってみること。

他人に近づくこと。

それを恐れないこと。

傍からは、誰もがやっていることにしか見えないだろう。

みんな自然とできるようになっていくだけの、過ぎてしまえば覚えていないような些事かもしれない。

けれど自分には、間違いなく、冒険だった。

本で憧れた主人公のように、挑み、乗り越えたかった。

でも現実は、小説じゃない。

冒険は必ずしも成功しない。どれだけ力を尽くそうが、理由もなく失敗する。

思い入れた本は燃えて、目標だった催しは開かれない。

脳裏にふと、友人の言葉が浮かんだ。

「もちろん現実の僕なんて、ただのエキストラなんですけど」

彼の言葉が、遅れて自分にも染み込んでくる。

自分をエキストラだとは思わない。

けれどきっと、主人公でもないのだ。

窮地を打開する魔法はない。

追い詰められても、誰も助けてはくれない。

ヒーローは来ない。

なぜならここは、現実だからだ。

そんなことは、嘆くほどのことでもない。

大人なら誰でも知っている、当たり前のことで。

 

「あの、一行さん」

「一箱だけ、たまたま別のところに置いてあったのを見つけたんです」

「50冊もないですけど」

「これで古本市ができますよ」

焼けた本が目の前にある。

言葉では言い表せない。

けれど、「魔法」を使ったのだと一行は痛感する。

 

「昨日焼けていた、あの本。頭の中が渦を巻き始める。混乱していた。よくわからない。確かに焼けていた。焼け残った表紙の切れ端を覚えている。それとも、見間違いだったのだろうか。だって焼けているなら、ここにあるわけがない。同時に、別の可能性が頭を駆け巡る。もしかして彼が、夜のうちに同じ本を探してきて? けれどそれも、あまりに現実的ではない。もしそうだとしたら、彼はこの四十数冊を買い集めて、古本に見えるように手を入れて、自分にしか知らないような小さな傷まで再現したことになってしまう。それこそ、本当に魔法だ」

「彼は、魔法を使ったのだ。古本市のために。みんなのために。もしかしたら、私のために。来てくれた。助けてくれた。彼はヒーローだった」

 

「僕は」

「一行さんが、好きなんだ」

 

「そうですか」

「交際というのは、一人ではなし得ないことです」

「ですから」

「二人でやってみましょうか」

目の前には。

彼女の笑顔があった。

 

花火大会の当日のこと。

落雷事故があるため、一行を花火大会には誘わなかった。

だが、アルタラを管理する「自動修復システム」がやってくる。

自動修復システムにより落雷するというのだ。

雷を主人公がグッドデザインで止める。

こうして、一行は救われたが……。

先生――10年後の現実世界の堅書の真の目的があらわになる。

それは、アルタラの世界にいる一行のデータを取ることだった。

現実の一行は死んだのではなく、脳死だった。

 

2037年夏、10年ぶりに一行瑠璃は目を覚ました。

だが、アルタラのデータと現実世界の齟齬がある。

現実の世界とアルタラの世界では出来事が異なっているためである。

 

「あの、本」

「……あの本?」

「違う」

「貴方は、堅書さんじゃない」

 

「自動修復システム」が現実世界にやってくる。

そこに、アルタラから主人公も来る。

一行をアルタラに戻すことに。

そして、グッドデザインで先生を消さないといけない。

 

「重複する記録は、処理しなければならない。同じものは、世界に二ついられない。つまり」

 

新しい世界でふたりは再開する。

まさしく、タイトルでいうハローワールドだ。

「きっとここは」

「まだ誰も知らない、新しい世界なんです」

新しい世界で、僕らはなんでもできるし、何も決まってはいない。

でも、やりたいことはもう決まっていた。

僕は。

幸せになろうと思う。

 

先生は病室で目を覚ます。

何年経っているかはわからない。

そこには一行がいた。

 

俺っちはアニメ映画の『HELLO WORLD』は見ていないですが、

小説の方の感想はジュブナイルとして面白かったですね。

まぁ、オレっちは『正解するカド』の方が好きですけど。

読了時間は1時間ほどです。

機会があったら映画も見たいですね^ー^

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